「茨の檻」番外SS

IBARA―茨の檻 (白泉社花丸文庫)
今城 けい/Illustrator 北沢 きょう様
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「なあ、ショーゴ。お前って、子供はわりかし苦手なほうか」
「別に苦手ってことはねえけど、お前みたいに保育士になろうなんて気はないな」
「ふうん。ま、そうだろうなあ」
「なんだよ、タツキ。なんか言いたいことでもあんのか」
「んー、いやいや。なんでもないけど」
「だったら、妙な笑いかたしてんなよ。なんかあるならさっさと話せ」
「そんじゃ言うけど――こないだ眞木ちゃんが保育園に来ただろう」
「ああ、あれな。お前んとこの園内を見学させてくれるってやつだよな。そんで、様子はどうだった? あんときゃ俺は急な仕事が入っちまって」
「眞木ちゃんは子供たちに囲まれて、すっごく楽しそうだった。子供たちも、眞木ちゃん、眞木ちゃんって、みんなよくなついてな」
「そうか。俺もそいつを見てみたかったな」
「あれから眞木ちゃんは、あの園じゃ人気なんだ」
「へええ。すごいな」
「また来るのか、いつ来るのか、しょっちゅう聞かれる」
「ふんふん」
「子供だけじゃないんだぞ。慶太くんのお父さんも眞木ちゃんがお気に入りで」
「なるほど……って、そいつはいったいどういうことだ!?」
「あの日、眞木ちゃんは父兄のお迎えが来る前に帰る予定になっていたんだ。 だけど、たまたま早い時間にお父さんが迎えに来てさ。眞木ちゃんを一目見るなり、棒立ちになっちまった。それで、そのあと真っ赤になって、眞木ちゃんに話しかけてた」
「……眞木はそんとき、どうしてたんだ」
「最初はびっくりしてたけど、あとはそれなりに応じてた。お父さんてったって
 ショーゴとたいして年齢は変わんないしな」
「…………」
「ん? どうしたんだ」
「……この次は、俺も絶対一緒に行く!」

「IBARA 茨の檻」より。遊佐とタツキの会話です。

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